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FalseIsland Eno.1620
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 author : 宝石商のグソー ×
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グソーは島に到着して、まずその招待客の多さに驚いた。
島の狭い船着場に次々と船がやって来ては、多種多様の井出達の人々がぞろぞろと降りてくる様子は圧巻である。
見れば訪れた招待客は人間だけではない様子で、獣人、エルフ、それらの混血、精霊のような存在まで、実に様々である。グソーの土地には人間外の異種族はあまり見られなかったので、言い方は悪いが、グソーはまるで動物園に来て夢中になった子供のように目を輝かせ、この不可思議な招待状に感謝した。
グソー自分と異なる文化を持つ者との交流が好きな男であったので、多種多様の土地の人々と交流出切るだろうことを考えると、うっとりと目を閉じた。さらにもしかすれば、彼らはグソーの生涯の友となるかもしれないのだ。グソーはそんな人々の群れに端から一人ずつ挨拶をして回りたいくらいであったが、さすがにそれは諦めた。

そして何より強くグソーの目を惹きつけるのは、美しい女性達の姿である。
剣士、魔道士、踊り子、白い肌、黒い肌、赤い髪、金の目、尖った耳や、獣のような尻尾…皆二つとない独自の美しさである。魅力的なオーラを活き活きと放ちながら遺跡へ向かう彼女達を、グソーは宝石を眺めるようにうっとりと眺めた。

グソーがこの島に来た目的は、宝玉を手にする事の他にもう二つあった。
一つは世界中から集まるであろう招待客達と、単に宝石商としてだけでない繋がりを築く事。
そしてもう一つは、グソーの心を強く惹きつける女性を見つけ、できれば妻として迎え入れる事だった。

グソーは妻と死に別れてから20年近くなる。その間にグソーは沢山の女性と関係を結びはしたものの、再び婚姻を誓い合うに至る女性とは出会えなかった。無論すべての女性が魅力的であったし、グソーを憎からず思っていたのだが、破綻した原因の9割が、グソーの恋をつまみ食いして歩くような性質――妻と死に別れ、その性質はより顕著になった――である。それに愛想を尽かす者もいれば、嫉妬に怒り狂ってグソーをうんざりさせる者もいた。
グソーはどんなに強く愛した相手であっても、一度関係が壊れてしまえば、向こうから再び歩み寄るのを待つのみで、決して追いかけようとしない男である。しかしながら、その間も浮ついた性質を抑える事はなく、次から次へと様々な女性に声をかけてしまうのだった。

つまりそんなグソーと番になれる女性とは、魅力的でありかつ鷹揚で、女好きのグソーを「さあ、そろそろ戻ってきなさい」などと逆に飼い慣らすような余裕のある女性であるが、40過ぎのやもめ男をそう扱える女性はなかなか見つかるはずもない。
しかしグソーは、このような不可思議な島への招待状を受け取り、無謀としか言えないような遺跡の探索をやってのけようという女性達の中にならば、彼の理想とする女性が一人くらいいるのでは…などと、楽観的に考えているのだった。

グソーは青い瞳を細めながら、そんな淡い期待で胸をいっぱいに膨らませた。そして情報や食糧の確保よりも先に、さっそく目に留まった女性に声をかけ始めるのだった。
(そして、その軽すぎる口ぶり手振りに、ことごとく誘いを却下されるのだった)

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 author : 宝石商のグソー ×
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